腎孟炎・膀胱炎

漢方治療では、急性や慢性の疾患を問わず、膀胱炎や腎孟炎になった人の体質、症状の状態、その程度によってそれぞれの処方を考えて使用します。

全て処方には、その漢方病理があります。症状は同じでも処方が違ってきます。処方の薬味の違いによって、その働き方が異なってきます。こで処方の選別の判断をしなければなりません。

1. 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
  筋肉のしまりのある体力のあるもので、下腹部に炎症があり、膀胱炎、排尿痛、残尿感のあるものに使用します。

2. 五淋散(ごりんさん)
  尿路感染症に使用します。排尿痛、残尿感、頻尿、尿の濁ったりする症状に用います。胃腸虚弱の人には、清心蓮子飲を使用します。抗生物質の効果の無い場合に効果があります。

3. 猪苓湯(ちょれいとう)
  膀胱炎の症状には、先ず最初に選択される処方であります。急性・慢性の腎孟炎、膀胱炎などの症状に用いられ排尿痛、残尿感の症状のときは、血尿が出る場合もあります。

4. 五苓散(ごれいさん)
  急性・慢性の腎孟炎や膀胱炎で、小便の出が悪く濁っていて口渇があるものに使用します。

5. 八味丸(はちみがん)
  六味丸(ろくみがん)
  排尿の後の不快感や残尿感があります。腰痛や口渇があり、胃腸障害ないものに使用します。

6. 清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
  胃腸の虚弱の人で、残尿感、排尿痛などがあり、尿が濁ったり、神経過敏で全身倦怠感があり冷え症のある人に使用します。

7. 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
  胸脇苦満があり、熱が上がったり下がったりして腰痛があったりします。上腹部の腹直筋が緊張しております。

8. 小柴胡湯 (しょうさいことう)
  柴胡桂枝湯の作用する範囲よりも、病気の位置が少し中の方にあり、口が苦かったり、食欲がなく、舌の上に白苔があります。往来寒熱といって熱と寒けが交互にくることがあります。

9. 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
  体力があり、下腹部に炎症や化膿があり、便秘するものに使用します。体力のないものや下痢、軟便の人には使用いたしません。