○冷えについて


昨今の生活状態で、冷蔵庫を使用し内臓を冷やすことに慣れて、普段の生活で、体を冷やしているという事を全然考慮に入れておりません。一番元の脾胃である消化器を冷やして消化力を落とすだけでなく、精神的ストレスをためて脾胃の働きを落としてしまっています。
生ものだとか果物、冷えたビール、酢の物、アイスクリーム、ジュース、刺し身など、脾胃を冷やすだけ冷やしています。こういうことをしていると体が持っている熱エネルギー〔陽気〕を減らして体が冷えてきます。




五行色体表にあったごとく、脾胃である土を弱らせますと土の力が弱まり剋くすべき水が盛んになります。水が盛んになりますと水があふれてきます。水があふれるために体内に余分な水が停滞して、時を経て風邪を引きやすくなったりして、葛根湯などで汗として水分を外に出してやらなければバランスがとれなくなります。
また水分の多いために、水が溢れ出て鼻水となります。
要するに水分が何処に偏在するかによって、処方が違ってきます。更に
心臓の弱い人は血液を全身に回すのに心臓に負担をかける事になりますし
腎臓の弱い人は全身水びたしとなって浮腫まで出てきて腎臓に負担をかけてしまいます。
とにかく 脾胃(土)を冷やすと相生であります肺(金)が冷えてきます。
五行色体表から、肺の五主は皮毛ですから脾胃を冷やした分だけ肺が冷えて、皮毛が冷えて汗が引っ込みます。更に五行色体表から、肺の五窮は鼻ですから脾胃を冷やすと鼻のあたりが冷えてしまって、そこを温めようとして血液が集まり充血し今までよりも血管が太くなり、しまいには呼吸しにくくなります。つまり鼻づまりがおきてきます。
こういうわけで脾胃(土)は全身の元といえます。
当然肺も冷えておりますから、肺炎になりやすい状態も、ともなっております。こういう理由で冷たいものを頻繁にとるべきではありません。


それから年とともに陽気(熱エネルギー)がだんだん減っていきます。赤ちゃんは陽気の固まりですが、年をとると陽気不足(熱量不足)になってきます。
熱量が段々少なくなってくる為に、飲む水分が下の方へ流れて行きやすくなります。陰(水分・冷え)の性質は、下の方へ向かうからです。体の表の部分水分が失われて乾燥していきます。こういうわけで飲んだ水分は熱量不足の為に水分を押し出す力が無くなって来て尿がスムーズに出なくなってきます。
五行説の相生から見ますと肺は土生金で脾胃の働きが肺へ伝わります。脾胃の力が弱って来て冷えますと、肺の方もそれだけ冷えて働きが悪くなってしまいます。その分若いときのように水分も回ってきません。だから年とともに肺もやや乾燥ぎみになり咳込むときの咳がこんこんという咳が多くなってきます。勿論そのときは、咳を鎮めるために肺を潤す漢方処方を使います。当然腎の働きも弱ってきていますので、白髪、骨粗鬆症、白内障、腰痛、残尿感、頻尿などの症状がおきてまいります。
すべて冷えが原因であらわれてきます。
更に脾胃を冷やしますと冷えを温めようとそこに体の持っている陽気(熱エネルギー)が中の方へひっぱられて中々、外に出てきません。だから起きているのに、やたらに眠くて眠さが取れません。
こうした事からも冷やさない方が体にとって大変大事なことです。