下痢

感染性の下痢の場合は、先ず抗生物質を第一に選択すべきであります。

病状には、急性のものと慢性の症状がありますが、漢方医学の漢方治療は、体力のあるのか、ないのか、原因が冷えからきているのか、熱からきているのかという漢方病理の『証』に従って行います。

『証』とは、漢方医学の治療の指針となる症候群であります。症候群とは治療の目標となります病的状態をいいます。
傷寒論の太陽病篇には「証に従って之を治す」とあります。

1. 葛根湯(かっこんとう)
  風邪の症状を呈して下痢・頭痛・肩こりのあるときに使用します。

2. 半夏瀉心湯 (はんげしゃしんとう)
  心下痞硬〔みぞおちのつかえ〕があり、吐き気、腹鳴を伴う下痢に使用します。

3. 五苓散(ごれいさん)
  口渇が激しく、水を多く飲んでも尿の出方が少ない。水のような下痢をするものに使用します。

4. 人参湯(にんじんとう)
  普段から胃腸が弱く、手足が冷えて、小便の回数が多く、口には唾液が出て、下痢しやすいものに使用します。

5. 真武湯(しんぶとう)
  全身の機能が衰えて、血色が悪く、気力も乏しくて冷え症で、尿の出は少なく下痢したあと、ガックリ疲れる人に使用します。

6. 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
  便意を催しますが、少しずつしか出ないで、便がまだ残っているような感じがして、ガスっぽいしぶり腹の下痢に用います。しぶり腹のひどいときは、桂枝加芍薬大黄湯を使用致します。

7. 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
  潰瘍性大腸炎などやストレスが続いたことで起こる下痢に使用します。

8. 六君子湯(りっくんしとう)
  下痢や便秘がくりかえしたり、食欲のないものに使用します。