胃下垂

胃下垂になっている人は、やせ型で体力のない方が多いです。
胃の状態が水浸しになっていて、胃のあたりがポチャポチャと水の音がする人があります。漢方医学では、この症状を胃内停水と言います。
このような症状があると、胃がむかむかしたり、乗り物酔いをしたりします。このような症状が続くと手足が冷えてしまう場合もあります。
また、胃はストレスに敏感に反応しますので、心の問題がすぐに症状に出てまいります。

 ・ 体を動かすと胃がむかむかする
 ・ 食事をした後にもたれる感じがする
 ・ 乗り物酔いをしやすい
 ・ げっぷや吐き気がある
 ・ 食欲不振とか胃部膨満感がある


このような症状が見られます。
胃下垂は胃を温めるものを食して、冷えたものを取らないことと、胃の神経に負担をかけないようにすることが重要です。
漢方薬は、胃の水を取り除く利水剤である白朮(びゃくじゅつ)、半夏(はんげ)、茯苓(ぶくりょう)を良く使います。それとともに附子(ぶし)、人参(にんじん)、乾姜(かんきょう)、蜀椒(しょくしょう)などの生薬を使って体を温めます。

1. 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
  水分停滞から立ちくらみ、動悸、息切れ、頭痛などの症状がある。

2. 茯苓飲(ぶくりょういん)
  食事をすると胃にガスがたまったり、みぞおちが痞え膨満感があり、げっぷ、吐き気が有ります。胃内停水で水の流れが悪いためです。生薬の陳皮(ちんぴ)・枳実(きじつ)が入っています。

3. 六君子湯(りっくんしとう)
  胃腸が虚弱気味で消化不良、食欲不振、みぞおちの痞え感、つかれやすい、貧血ぎみ、手足が冷えやすいなどの症状があります。

4. 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
  水毒があり、胃腸が弱く食後眠くなり、頭痛や頭重感が続き、肩こり、手足が冷えやすいという症状があります。

5. 乾姜人参半夏丸 (かんきょうにんじんはんげがん)
  乾姜(かんきょう)で胃を温め、人参で補い、半夏(はんげ)で水をさばいて吐き気を鎮めます。女性が妊娠したときのつわりの薬でもあります。

6. 桂枝加芍薬湯けいしかしゃくやくとう)
  お腹がはって痛みがあり、ガスっぽく頻繁に便意をもよおして排便困難な症状があります。
腹部膨満感があり動悸や腹痛、手足のほてり等があります。

7. 大建中湯(だいけんちゅうとう)
  体力低下があり、手足や腹部が冷えやすく、腸がもくもくと動くような感じがするといわれるほど胃腸が冷えている症状があります。
生薬の人参(にんじん)乾姜(かんきょう)蜀椒(しょくしょう)などで温めてあげます。

8. 人参湯(にんじんとう)
  体力が低下して頭痛、冷え症、食欲不振、下痢、吐き気、尿量が多いなどの症状があり、とにかく胃がうんと冷えてしまっていて胃に力がない場合に使用します。

9. 真武湯(しんぶとう)
  虚弱体質の胃腸疾患に用いられ水分の停滞から下痢したあとの脱力感とかそのための尿の不利、冷え症、目眩、頭痛、むくみがあり疲れやすい、血圧が不安定などの症状があります。
茯苓(ぶくりょう)朮(じゅつ)生姜(しょうきょう)で消化機能を高めて附子(ぶし)などの新陳代謝を盛んにする生薬が使われております。